黒猫*溺愛シンドローム




あー…そこまで考えてなかったよ。


もう、いっそのこと、俺が“浅海”に…ってダメだ。


これでも一応、長男だから“風見家”を継がなきゃいけないし……


あ。“夫婦別姓”とか?
それ、いいかも……



「おまえさぁ…」



あれこれ頭を悩ませる俺に、修ちゃんはぽつりと、呆れたように呟いた。



「面白いよなぁ」

「へっ?」

「“王子”なんて呼ばれてるからさ、どんな奴かと思えば……コレだもんなぁ。」



修ちゃん、なんか笑ってない?



「まさか、こんなんだとは思わなかったよ。見た目と中身のギャップありすぎ。」



えーと…それは、誉め言葉?



「こりゃ、風歩が振り回されるわけだよな。」



振り回し…てるのかな?



「でも、“王子”ってのはあながち間違ってはいないかもな」

「え?」

「だって……

頭の中、まさに“メルヘン”って感じだもん。」





……ん?