黒猫*溺愛シンドローム




……よくわかんないんだけど。


ついて行けない俺をよそに、修ちゃんは続けた。



「どうせつき合うなら、アイツの家族にも祝福されたいだろ?」

「そりゃ……」

「だったら、順番に頑張れ。嵐士くんは、風歩なんかよりもずっと手強いから。」



うーん…やっぱり、イマイチよくわからない。


でも、浅海さんのお兄さんってことは、
近い将来、俺にとっても“お兄さん”になるわけで……


長いつき合いになるわけだから……って、ん?



「修ちゃん、どうしよう!」



すごく重要なことに気づいてしまった。



「なんだよっ?」



いきなり声を上げた俺に、驚く修ちゃん。



「今、気づいたんだけどさ…浅海さん、“風”って字が被っちゃうよね?」

「はっ?」

「音的には大丈夫だけど、字面的には微妙だよね?」

「おまえ、何言って……」

「だから、

結婚したら、浅海さん、
“風見風歩”になっちゃうじゃない?」


「はあぁっ?」