「課題ってこれで終わり?」
「まだある…けど?」
ぶすっとした調子で答える視線の先をたどってみれば、机の片隅に積み重なったプリントの束。
……あー。これは大変だ。
彼女の実力なら、下校時刻までには余裕で終わるだろうけど……
「手伝うよ。」
「はっ?」
「2人でやったほうが早く終わるでしょ?」
先生たちの狙いは、彼女に“勉強させること”じゃなくて、
一定時間“拘束すること”だから。
別に、全部を自力で解く必要なんてない。
積み重なったプリントを手に取りながら、
「大丈夫だよ。
先生にはちゃんと、浅海さんが“時間をかけて1人で”頑張った、って報告しておくから。だから……」
いかにも“意味不明”と言った感じでぽかーんとしている彼女に微笑みかけて。
「余った時間は、
“2人っきり”でゆっくり過ごそうね?」
大好きな感触を堪能すべく手を伸ばした。

