黒猫*溺愛シンドローム





「今日は英語だっけ?」



確認するフリをして、さりげなく顔を寄せて覗き込んでみれば……


「ちょっ…近っ」



予想通りの反応。

慌てて顔を背けて…俺から距離を取ろうと試みる。


……そういう反応をするから、ついかまいたくなるんだよねぇ。


緩む頬を抑えつつ、逃げようとするその細い肩を引き寄せて。

俺は、机の上に視線を戻した。



「お、さすがだね。ほとんど終わってる。」



手元のプリントは、ほぼ埋まっていた。

しかも、見た感じからして、いい加減に答えを書いた風ではない。



「やればできるんだから。
授業さえサボらなければ、こんなことにはならないのに…」


「よ…余計なお世話ですっ」



ムッとした顔で俺を睨んでから、肩に回された腕をふりほどこうとする彼女。

頑張ってもがいてるけど、全然抵抗になっていないところがまた可愛い。



「まぁ、そのおかげで、
俺は“毎日”こうして、“ふたりっきり”の時間を過ごせるんだけどね。」