黒猫*溺愛シンドローム





「どう?進んでる?」



生徒会室のすぐそば。

普段は滅多に使われない、小会議室。


一応ノックをしつつ、覗いてみれば……



「……なんで来るの?」



俺の姿を捉えるなり、
眉を寄せて、思いっきり嫌そうな顔になる。



「頑張ってるかなー、と思って。様子を見に?」


「……別に、来なくていいから。って言うか、来ないでくれる?」



冷たく言い放って、再び机に向かう彼女。


相変わらず、だなぁ。

まぁ、そこが可愛いんだけど。



「そういうわけにはいかないよ。先生にも頼まれてるし。」



“逃げないように、ちゃんと見張っとけ”って、さ。


言いながら、座っている彼女のほうへと近づいて、すぐ隣の席に腰をおろした。


肩がびくっと震えて、身体を強張らせたのがわかる。


……意識、してるよね?
確実に。


本人、無視を決め込んでるつもりみたいだけど


…ふっ。可愛いなぁ。


もう、今すぐ腕の中に引き寄せて、めちゃくちゃに抱きしめたい気分。


傍にいると、おかしくなりそうだ。