黒猫*溺愛シンドローム





「つき合ってるの?」

って聞かれて、


最初のうちは、俺だって、正直に答えてた。

“まだ、つき合ってはいない”って。




でも……


そう答えると、みんな口々に言うんだよねぇ。



「なんで、浅海さんなの?」

とか

「だったら、私とつき合って!」

とかさ。



……意味がわからない。


“なんで?”なんて、
どうして説明しなきゃいけないの?


“だったら”って何?


俺は、浅海さんとしかつき合うつもりはないし、つき合えないんだってば。



そんなことを繰り返してるうちに、なんだか面倒になってきて。


いっそのこと、肯定しちゃえ、って思って。


……今に至る?




まぁ、どうせ近いうちにそうなるわけだし?


未来の話をしてると思えば……いいよね?


もちろん、
彼女はそれを知らない。


バレたら、怒るだろうなぁ。


また、可愛い顔でフーッて…あ。見たい、かも。



怒っても可愛いから、参っちゃうんだよなぁ。


……ダメだ。想像したら、無性に会いたくなってきた。


よし、行こう。





逸る気持ちを抑えつつ、

俺はある場所へと足を進めた。