それからあたし達は別々に聞き込みを開始した。


昨日の事件について知っている人間や目撃者はいないかを探していた。


「この裏口って14時にならないと開かないのよ。だから表口を使ったし…そういうのは見てないわね」

「え?この入口、14時までは閉まっているんですか?」

「あら、知らなかった?貼紙が貼ってあるわよ」


おばさんはそう言って、あたしの後の壁を指差した。


《注意》
旅館裏口は14時まで配送の出入り口となります。14時前のご利用はご遠慮願います。


「…本当ですね。ありがとうございました」


おばさんに頭を下げて、注意書きを見つめた。