刑事の秘めごと~仮面編~



しばらくして目が覚めると、永山がパトカーへと乗り込む瞬間だった。


「永山」


永山に駆け寄り、振り返った永山を思いっきり殴りつけた。そんなあたしの行動に、一同が騒然とする。


「永山、お前はあたしがお前と一緒だとか言ったな…。あれを取り消せ」


周りを気にせずに、あたしは永山を睨みつける。


あたしは永山とは違う。自分の復讐に他人を巻き込み、人の命を軽視するという犯してはいけない罪を犯した。


「お前が幼少時代、どんな傷を負ったのかは知らない。それでも…それを殺人という形で復讐し、周りの人間達を巻き込むなんて…絶対にあたしはしない!!!」


刑事になる時、あたしは自分自身にそう誓ったから…。


ただ………。


「お前の気持ちが分からないわけじゃない。時折、犯人を殺したいと思う事がある。それでも…その犯人にも家族がいて、恋人がいて…。それを奪ったあたしも、また犯罪者だ」


あたしが繰り返せば、またその家族が。そうして繰り返されてしまう連鎖だ。


「あたしは…犯罪者になりたくない」


それは願望……。菜野香の事となると自分を抑え切れないあたしは、犯人を前に何をするか分からない。


だからこそ、自分自身に言い聞かせるんだ…。


あたしは犯罪者にはならない、なりたくないと。