時刻は只今、午後10時46分を回っている。眠さと空腹に負けて、互いに仮眠を交互にとったり、ご飯を食べたりしていた。


「…あー美味い」

「腹減った…飯よこせ」


おにぎりをかじるあたしの膝にある袋に、灰が手を伸ばした。


―パチンッ

「触るな灰になるだろ、あたしの大事なおにぎりが」

「あ?ならねぇよ!!いいからよこせ!!」

「嫌なこった」


空腹な灰に見せ付けるようにおにぎりを頬張った。


「…あー…腹減った…」


あれから15分ちょっと、灰はずっとそれしか言わない。よろよろと運転しながらハンドルに寄り掛かっている。


なんだか可哀相に見えてきた…。いや、認めたくない。