「ただ今帰りましたー…」

ミノの声でリーダーと凍海が顔を上げた。


「お〜お帰り〜!じゃあ報告お願い」


リーダーの言葉にあたし達は首を横に振った。


「目撃情報ゼロ。悲鳴どころか、争った音すら聞いた人間がいない」


無駄足も良いとこだ。透明人間か?


「収穫無し…かー……。凍海は?」

「はい、こちらも被害者に関係のある人間の割り出しはしたのですが…。どれも犯人とは言えませんね」


はぁー…と全員がため息を着いた。完全に息詰まった事件。

今までならどんな難事件でもササッと解決していた特捜が手も足も出ないのだ。

「振り出しだね。枝真、灰努!君等は事件現場付近をパトロールして!凍海は引き続き割り出しを、ミノは被害者遺族への聞き込み!」


さすがリーダー。あたし達の能力に適した仕事を与える。


確かにパトロールは良いのだが…。


灰の奴と一緒にパトロールなんて…死んでも避けたかった。


「…チッ…………」


灰の奴も顔をしかめている。おまけに舌打ち…。

あたしが舌打ちしてーよ!!

灰が部屋を出て行くのを合図に、それぞれ仕事に戻った。