「はいはい座る座るー」


睨み合ったままのあたし達の背中をリーダーが無理矢理押して、席に着かせた。

「じゃあ落ち着いたとこで…事件だ」


『事件』という言葉に、身が引き締まるのを感じる。特捜に任される仕事は難事件が多い。


あたし達特命捜査課は検挙率、分析力等で何かしら優れた人間が集まっている。

それゆえに任される仕事も国を左右する大きな事件が多いのだ。


特命捜査課が基盤となって他の捜査官から何やらを動かす。


「殺人事件だよ。被害者は野田 晴子さん38歳。勤務先から帰宅中に鋭利な刃物で背中から切られている。犯人は未だ逃走中、特命捜査課に依頼が出た」


殺人事件……。被害者はまだ一人だが犯人が逃走中でいつ次の被害者が出るか分からない。


「ただねー…。普通じゃないんだよね、この殺人」

「普通じゃ無いって何がですか?」


ミノがあたし達の気持ちを代弁した。


「被害者の顔には、仮面が被せられてるんだよ」


…仮面……?


「何がしたいのか分からないけどね、仮面が残されていたらしい。何とも奇妙だよねー…」


奇妙にも程がある。それに、こういうのは大抵頭がおかしい奴がやる事だ。