ほらね。【完】



「きょっ恭平ー!なにがあったのかだけで良いから教えてー!」

デカイ風を的もに受けながら、円佳は大声をだして俺に聞く。
だけど、俺にそんなの答える暇はない。

勢い良く自転車をこいでこいで、進ませる。
今の季節は冬。
制服姿の円佳は寒くて、体を丸めて、俺の背中にぎゅーっとつかまる。
風呂上がりの俺は、きっと円佳より寒い。

だけど、自転車をこぐ。
急がないと、間に合わないかもしれないから。

「…っはぁ…はぁ」


――――――……


おばさんからおじさんに電話が変わった。

『もしもし、恭平くんか?』

「あ、はい。そうですけど…」

その時から、なにか可笑しいってわかってたんだ。
おばさんとおじさんの落ち着きのない声から。

『すまないね、ウチの女房が』

だけど、俺の予想が当たってるかはわからない。
だから、早く答えが知りたかった。

「あー、イエ。それより、なんですか?」

『あのな…』

おじさんの声が震える。

ドキン…ドキン…ドキン

俺の心拍数がどんどんあがる。




『瞬が…交通事故にあって…もう、ダメなんだ…』



―――――――……


「恭平ー!なにがあったのよー!」

数分前の事を思い出してしまっていた。

俺は必死にこぎながら、円佳に言った。


「瞬が…っ!やべぇんだよ…っ!!」

それだけ言うと、円佳はピタリと止まった。

それからも、俺は必死にこぎ続けた。


こんなのありかよ…っ!
急すぎるだろ!