「ズルイぞ〜遼!!抜け駆け無しだかんな?!」
ギュッと両肩を掴まれた途端、あたしの頭の上からそんな声がした。
「えっ?!」
顔だけ振り返ると、
アッシュブラウンの短めの髪を無造作にセットし、ニカっと無邪気に笑う人がいた。
「琴女、めちゃくちゃいい香りがする♪」
その人はあたしの髪の毛に顔を近付けてくる…
「碧!!お前、キャラ悪用すんなって!!
琴女ちゃんから離れろ!!」
「ヤダね〜♪
俺、真田碧な♪よろしく琴女♪」
…初対面でいきなり呼び捨て?!
「…あの…とりあえず肩の手離してくれない?」
「や〜だよ♪」
「……」
真田くんは、じゃれつく犬みたいにあたしに絡みついてきた。
「いい加減離れろ、碧。」
あたしが真田くんに困っていると、すぐ近くの席に突っ伏していた人が言った。
「っちぇっ!!おさむはずっと寝てろよ!!」
真田くんは口を尖らせて言う。

