授業が終わり、直江くんと教室を出る。
特に会話も無く、ただただ歩くだけ。
学校を出て、直江くんは右、あたしは駅に向かうから左・・・
直江くんはあたしを見ることもなくどんどん行く。
あたしは、いつも直江くんの背中を見送ってから駅に向かっていた
せめて・・「じゃぁね」ぐらい言ってもいいのに。
学校の中だけの彼女だから、学校出たら関係ないんだ?
・・あたし、直江くんの携帯番号も、メアドも知らないし。
なんか・・・淋しいな・・・
・・ってか、いつまでこんな関係続けるんだろ・・
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駅に着いて、改札をくぐった時。
「琴女!!」
いきなり声を掛けられた。
「・・圭太!!」
振り返ると、あたしの元彼の圭太が立っていた。
圭太は、近くの高校に通っている。
「他に好きな子が出来た」と言われて終わった相手。
「どしたの?」
「久しぶり。3ヶ月振り・・か?
ちょっと琴女に会いたくて待ってたんだ・・」
「・・・会いたくてって・・・彼女は?」
「琴女と別れてすぐに付き合ったんだけど、1ヶ月持たなくてさ。
どうしても琴女と比べちゃって・・・」
「・・・そう・・」
「そいつと別れてからずっと琴女が頭から離れなくて。
もしよかったらやり直せないかな・・・」
正直、動揺した。
あたしは高校に入ってから、同じ電車に乗る圭太を
ずっと見ていた。
思い切って告白してOKしてもらった時は本当に嬉しかった。
半年くらいの付き合いだったけど、ファーストキスも圭太だったし、
初めての相手も圭太だった。
あたしの中で、圭太は一生消える事のない存在・・・
そんな圭太がやり直そうと言っている。
「彼氏・・・いるの?」
彼氏・・・
一瞬、直江くんの顔が浮かぶ。
でも、直江くん偽彼氏だし・・・
俯いて考えていると、
「井上さんじゃない?うわぁ。男と密会??
オサムかわいそ~~!!」
近藤さんがあたしを睨みつけて言って来た。

