教室に入ってきたのは、同じ学年の近藤さやって子だった。
「ちょっと!!オサム!
何してんの?って聞いてるでしょ?!」
直江くんは明らかに不機嫌そうな顔をして言った。
「自分の女とキスしてただけだろぉが。
これからって時に邪魔すんなよ」
「「はぁぁ?!」」
あたしも、近藤さんも発狂した。
「な、直江くん!!どういう・・・」
直江くんはあたしにキッと睨み、目配せをした。
あ・・・さっき言ってた事か・・
《学校の中だけの女》ってやつ。
近藤さんは、あたしにも突っかかってくる。
「井上さん、どういうこと?!オサムの女なの?」
あたしはチラッと直江くんを見やる。
・・・う・・・なんか、めちゃくちゃ睨まれてる。
とりあえず、その場しのぎで・・・。
「う、うん。直江くんと付き合ってるの。」
「うそ・・でしょ?オサム、ホントなの?!」
近藤さんは泣きそうな顔で直江くんに聞く。
「だからマジだって言ってるだろ?
なんなら今からセクロスでも見て行くか?」
「・・・もういい!!オサムのバカっ!!」
近藤さんはそのまま教室を出て行った。
あたしは、自分の席の下に落ちてる教科書を拾いながら
直江くんに聞いた。
「あたしを学校の中だけの女にするって・・
どんな理由なの?
ってか、その前に謝ってよ・・さっきの事。」
「さっきの・・・あぁ、キスしたこと?
ごちゃごちゃうるさいからキスしただけだし。
あんまりうるさいとまた塞ぐけど?」
「・・・・・・」
あたしは黙るしかなかった。
すると、直江くんがクスクス笑い出した。
「そんなに俺とキスするの嫌?
っつうか、あの女、俺にまとわり付いてきてウザイから。
だから、カモフラージュで琴女と付き合う・・て訳。」
「そんな・・・酷い」
「ごちゃごちゃうるさいって。
とにかく、しばらくよろしく。」
そう言って直江くんは教室を出て行った。

