あたしは・・・真田くんをギュっと抱きしめた。
あたしが抱きしめてるのに、
あたしが真田くんの胸に顔を埋めている。
真田くんの心臓が早い。
でも、とても心地良いリズム。
目をとじて、そのリズムを聴く・・・。
自分で何してるんだろ・・って思ったけど、
今はなんとなく真田くんにくっついていたいばかり。
「なぁ、琴女・・・」
「・・・ん?・・なに?」
あたしは真田くんの胸元で少し顔を上げる。
「あんま優しくすると、チュウするぞ?!」
真田くんはあたしをチラッと見下ろして、
またすぐに視線を上げる。
「フフっ。
そんなのしないから大丈夫♪」
真田くんはまたふぅ~っと深く息を吐いた。
「俺、なんか今不思議な気分だよ。
さっきは嫌な現場を目撃して、
ムシャクシャしてたはずなのに、
今は、めちゃくちゃ落ち着いてる・・・。」
そう言うと、あたしの頬に手をあてた。
「琴女がいると、心強いな♪
野球の試合みたいにさ!!」
真田くんのその言葉がとても嬉しかった。
あたしは・・・
真田くんがいるから毎日楽しく過ごせてるんだよ?
真田くんがいてくれるだけで心強いんだよ?

