その女の子は携帯を耳から離すと、
ぱぁっと明るい表情で手を振る。
手を振る相手は、真田君ではなく・・・
別の男の子だった。
真田くんの彼女はその男の子に歩み寄り、
ギュッと抱きつく。
男の子も、それに応えるかのように
女の子を抱きしめた。
「碧・・・あれって・・」
上杉君が驚いたように言う。
「・・・・・・」
碧くんは、ギュッと手を握り締めて、
ただただその二人を
見つめるだけしかできないでいた。
あたしは真田くんの悲しそうな
顔を見るのが辛かった。
「・・真田くん・・」
「・・・・・・」
「行こう!!」
あたしは真田くんの手を握って、
彼女たちとは反対方向にむかって
走った。
真田君は、力なくあたしに引きずられる。
「琴女・・?」
「いいからっ!!」
あたしは真田くんの手をさらにギュっと握った。

