昼休み。
あたしは、お弁当を持って里菜のクラスに行こうか…と思ったけど、
違うクラスのあたしが図々しく中に入るのはどうかと思い、教室に残る事にした。
クラスの皆は食堂に行ったから、教室にはあたし一人だけ…
これから二年間、あたしは一人でお弁当食べるのかな…
「…切な…」
思わず口に出てしまう。
「琴女ちゃん♪」
一人でお弁当を食べていると、上杉くんが教室に入ってきた。
「…やっぱり」
そう言って、あたしのお弁当を見る。
「隣いいかな?」
上杉くんはあたしの返事を待たずに隣の席に座って、パンを食べだした。
「上杉くん、食堂行かなかったの?」
「行こうと思ったけど…琴女ちゃんが一人で食べてるんじゃないかって気がしてさ♪」
上杉くんはスティックパンをパクっと口にして、ニッコリ笑った。
「あ…ありがと」
あたしはその笑顔に翻弄されないように視線をそらせて言った。
「琴女ちゃん?人と話す時はちゃんと目をみなきゃダメだよ?」
「…え?」
上杉くんはあたしをじっと見つめた。
上杉くんの綺麗な目にあたしは動きを封じられる…
「…ね?」
…あぁ…目が離せないし…
ドキドキが止まらない…
上杉くんはあたしの目に視線を固定したまま、
ゆっくりと顔を近付けてくる…
…ダメだ…動けない…