別の人格の現れ方は多様であるが




例えば弱々しい自分に腹を立てている自分、奔放に振る舞いたいという押さえつけられた自分の気持ち、堪えられない苦痛を受けた自分などが心の中で切り離されて成長してゆく。


多くの場合元々の自分は切り離された自分のことを知らない。



そして普段は心の奥に切り離されている別の自分(交代人格)が表に出てきて一時的にその体を支配して行動すると、本来の自分はその間の記憶が途切れ、何がどうしたのか解らない。



しかしそれぞれの交代人格はその人が生き延びる為に必要があって生まれてきたのであり、それぞれがその人の一部なのだという理解が重要である。




「理解が重要・・・?」



段々、長文を読むのに慣れてきだしたあたしの目は、スラスラと流れていくように頭に入ってくる。





――――――・・・・


「・・・読み終えた・・かな?」


近くにあった時計を見てみると、初めに読んだ資料から20分ほど経っていた。