「じゃあ、ならやまりゅうきの娘を守ってくれる人はいないの?」

「いるよ。でも蓮司と同じくらいの歳だったら守ってくれるのはパパとママだから、ママが守っていてくれてるよ」

「それって大丈夫なの?」

「きっと大丈夫だよ。それに…」


そこまで話して親父はとても優しく微笑んだ。


「その子が大きくなったらその子のことを好きになった男の子が守ってくれるから大丈夫だよ」

「もしできなかったら?」

「きっとできるよ」

「そんなのわかんないじゃん!」


そういって俺が食いつくと親父は困ったように笑った。

でもそのあとすぐに嬉しそうに笑った。


「じゃあさ、蓮司が守ってあげなさい」

「…僕が?でも僕その子知らないよ?」

「蓮司とその子がもしも出会ったらそれは運命だよ」

「うんめい?」

「生まれる前から決まってたってことだよ。」


親父のいっていることの大半がよくわからなかった。

けれど俺は、その子を守らなくちゃって心からそう思った。


それから数年後、俺がその子に出会い、強くそう思ったのは言うまでもない。