学校が終わり、友達と公園で待ち合わせ。

家に帰ると3年間使われている黒いランドセルを乱暴におろす。


「こら、蓮司。物は大切にしなさいって言ってるでしょ!」

「はーい、ごめんなさい。ね、おやつは?」

「もー、蓮司は誰に似たのかしら」


そういって困ったように笑う母さん。


「はい、今日はドーナツよ」


やったーとドーナツに飛びつこうとしたが、お目当てのドーナツは姿を消した。


「残念、これはパパのでーす」


そういってにやにやと笑う母さんは子供のようだ。


「これパパに渡してきて?パパは部屋にいるから。」

「ママが行けばいいじゃん。僕このあとゆーじくんと約束あるんだよ!」

「おいてきてくれたら蓮司にはチョコのやつ2つなのにな。」

「いってきまーす」


ドタドタと廊下をあわてて走る。

我ながらなんて現金な子供だろうと今になって思う。