「今の…どういう意味?あの人が…パパが浮気してたっていうの…!?」


気づかないうちに私の両手は強い力で握りしめられていた。

パパ、どれくらい久しぶりに言っただろうか…

なんて懐かしい響きなんだろう。


「ma Cheri。俺はこの歌を聴いたとき、恋愛よりも綺麗で純粋なものを感じたよ。」

「…浮気はきれいでも純粋でもない…最低だよ!」


今もパパを想い、再婚もせずに私を育ててくれているママなのに…


ハッと気づくと強く握り占めていた両手を鍵谷君が優しく包んでくれていた。

ちらりと見上げると鍵谷くんは私に向かって優しく微笑んでいた。


「浮気なんかじゃないよ。見せたいものがあるから、そうだな…三十分後に笹川公園に来てくれる?」

「見せたい…もの…?」


不思議そうに首をかしげると、鍵谷くんは嬉しそうに笑いながら走り去っていった。