「ma Cherieは、たぶん君の思っているような歌じゃない。頼む…楢山龍希さんの気持ちに気づいて…」


今にも泣きそうな表情で彼は私にそういって教室から出て行った。

その直後はぁっとため息をついたのは快だった。


「ごめんな、シェリ。掃除当番なら言ってくれればよかったのに…」


そういって優しく私の頭を快が撫でていたが、私の頭を支配しているのはさっきの彼、鍵谷蓮司の言葉だった。


「っ…シェリ!?」


気づいたときにはもう走り出していた。

疎ましく思うことが多いはずのあの人の大ファンだという彼のもとへ


「かぎ…たに…鍵谷くん!」


私が大きな声で呼び止めると鍵谷君は後ろを振り返り、目を見開いていた。