―――――――――… 髪を乾かし終わって時計を見ると9時半。 「お姉ちゃん寝るよー」という瑠子の声に導かれるように、あたしは洗面所から寝室に向かう。 左からあたし、瑠子、お母さんという〝川の字〟で寝るのが基本。 テレビも何もないあたしの家は寝るのが早い。 だいたい9時半という、他の家ではありえないような就寝時間。 「電気消すよー」 お母さんはそう言ってパチンと電気に繋がる紐を引っ張った。 一瞬にして暗闇の世界に包まれる。 微かにカーテンから漏れてくる月光だけが頼り。