ぽたり、と。 頬を伝った涙が静かに落ちた。 何で泣いているろう。 どうして涙が出るんだろう。 喜ぶべき場所なはずなのに。 なんであたしは。 「瑠璃」 まるで泣き虫な小さな子でもあやすかのような声。 迅はそうあたしの名前を呼んでは優しく抱き寄せた。 ふわりと香る、落ち着く迅の匂い。 「…迅」 「なに?」 「あたしを見つけてくれてありがとう」 何を言っているんだろう。 自分でも何を言っているのか分からない。