迅は何処に行ったんだろう。



もう出て行ってしまっただろうか。


ここには既にいないだろうか。




もう会いに来てはくれないだろうか。




「………迅」



そっと名前を呼ぶだけで逢いたくなる。


オデコに貼られている冷えピタに触れれば、迅の体温があたしに流れ込んでくるような感覚になる。



逢いたいと、心が叫ぶ。



何処に行ったの?


あたしの隣にいてくれないの?



「迅………」



この声は届くだろうか。


迅に届いてくれるだろうか。



お願いと、誰に願うんだろう。


神様なんて言わないから。




だから―――どうか。