目を覚ませば、見慣れた天井があたしの目に飛び込んできた。


何度か瞬きを繰り返し、ゆっくりと視線だけを動かして辺りを見渡す。




「………」




起き上がろうかと思ったが、思いのほか体がダルくていうことを聞いてくれない。


深く息を吐き出したところで、あたしはオデコに貼り付けられているものに気づいた。



…あ。



冷えピタが貼られている。


そっと触れ、目を閉じる。



誰が、なんて馬鹿なことは言わない。


海さんかもしれない、なんて微塵も思わなかった。



迅…。



強く目を瞑る。


同時にズキズキと痛む胸の奥底。


これは風邪のせいなんかじゃない。