迅がいなくなった途端に心が重くなった。
ドクドクと血液と共に体を駆け巡るのは〝不安〟や〝心配〟、〝捨てられたくない〟という強い気持ち。
ハッキリと芽生えた気持ち。
〝好き〟。
〝傍にいて〟。
〝傍にいたい〟。
欲望ばかりが溢れ出す。
けれどそれを何1つ口にできない。
何1つ口にできないままのあたしを置いて行くように、迅は部屋から出て行ってしまった。
「………迅」
本音を言えばよかったのだろうか?
心の中の気持ちをすべて吐き出せばよかったのだろうか?
正解なんて分からない。
ただあのときのあたしは、本音を隠すことしか考えていなかった。

