「ケーキの中にほおりこむぞ?」
「………それだけは勘弁してください」
なんだかんだ元気そうなので腕を離した。
突然のことに三山は少しよろけたけど、普通にあたしの後ろを歩いて来ていたから手助けはやめた。
息を止めて甘ったるい空間を抜ければ見えてきた扉。
開けば心地良い空気がダメージを受けた体を包む。
「ふぅ…」
空はもう暗闇に包まれている。
星が輝き始めているから、7時過ぎだと予想できる。
「…天国のようだー」
いつの間にか隣にいた三山が棒読みで大袈裟な事を言う。
誰もいない空間。
三山がこんなにも早く到着すると思っていなかったから驚いてしまった。
「早かったね」
「あんなとこに数秒でもいたくない…」
そんな小さくなって弱音を吐く三山に笑いながら言う。
「ケーキ何個食ったのさ?」
「…5個」
随分増えてんな。

