「あそこからなら平気。 ベランダっぽくなってるらしい」
美沙情報。
そう付け足す。
あたしは指差された奥を見つめ、
「じゃあ気分転換にでも行って来ようかな」
そう言って立ち上がった。
この状況で一番可哀想なのは三山。
どうしようか迷ったけど、しょうがないから連れて行ってあげることにした。
「ちょっと…マジ平気なの?」
男子を抱えることなんてできないと思ったあたしは、とりあえず三山の横に立ち顔を覗き込んで言ってみた。
返事は返ってきても唸り声くらいだと思っていたから、
「外…出たい」
そう消えてしまいそうな声で囁くように言われたときは、本気で可哀想だと思ってしまった。
さすがにここまですることはないだろうに…。
あたしはチラリと深谷を睨む。
深谷はハテナを頭上にくっ付けたまま不思議そうにあたしを見たままケーキを食べ続けていた。
甘党妖怪め…。

