三山…頑張るしかなさそうだぜよ。
あたしはポッケの中の使い古した安い財布にそっと触れる。
『小遣い』
迅はそう言って、毎月1日に5000円をくれる。
最初1万円を渡してきたときには驚いて何度もいらないと言ったら、じゃあ5000円でと言うことで話はついた。
何度も悪いと断るけれど、毎回押し付けられてもらってしまう。
使うに使えない金。
買いたいものもないから貯まっていく一方。
申し訳ないけれど、ここで使わせてもらおうと思う。
使わせてもらいます。
心の中で迅にお礼を言いながら、皿を片手に匂いの発信元へと到着。
慣れてくると大丈夫。
嗅覚が鈍くなったのか、匂いを感じなくなった。
「それじゃあ勝負ね!」
あたし達3人にそう言うと、美沙はさっさと人ごみに混ざるようにして消えた。
「勝負だってよー」
そう楽しそうに言って美沙と同様に深谷も消えていく。
あたしと三山はその背中をただ呆然と見つめることしかできない。

