すると迅は一向に動こうとしないあたしを抱き上げた。
「…っ?!」
驚くものの、体に力が入らなくて何もすることができない。
あたし達はそのまま部屋を出ると、どこかへと向かう。
涙は止まったものの、泣きすぎで瞼が重くヒリヒリとする。
このまま寝てしまいたいけど、やっぱり風呂に入ってスッキリしたい。
「ほら、入ってきな」
そう言うと、とある場所であたしをおろした。
目の前には今まで入ってた銭湯みたいな大きなところじゃなくて、普通の家庭用の風呂があった。
バクバクと激しく音をたてる心臓は鳴り止まない。
けれどここまできて嫌、なんてことは言えないことぐらいあたしにだって分かる。
コクリと首を縦に振ると、あたしはゆっくりと足を進める。
大丈夫大丈夫…。
あたしは鈍感だから見えるわけがない…。
そう何度も何度も自分に言い聞かせる。
そうしないと恐怖心で心が砕けそうになる。
早く済まそうと、あたしはテキパキと服を脱ぐと風呂場へと入った。

