でもフルフルと首を横に振ってしまう。
思い出してしまった。
水のある場所には〝例のあれ〟がよく集まるということを。
こんな時に思い出さなくてもいいのに、思い出してしまったせいで風呂に入ることが怖くなってしまった。
ギュッと迅に体を寄せる。
迅は小さく息を吐くと、
「どうすんの?」
あたしの背中を撫でながら訊いてくる。
どうしよう…。
そんなのあたしが訊きたいくらいだ。
すると迅は何を思ったか、あたしの耳元に口を寄せると小さく囁いた。
「じゃあ一緒に入る?」
とんでもない、とあたしは俯いたままさっきよりも激しく首を左右に振る。
1人で入るのは怖くて嫌だ。
けれどだからと言って迅と一緒に入るなんていうのにも賛成できない。
どうしたいのか分からない。
風呂に入らなきゃいけないってことは分かっている。
でもどうすればいいのか分からない。

