けれど、
「嘘」
迅はそう言うと笑った。
あたしは顔を真っ赤にして睨み付ける。
…馬鹿にされてる。
すると急に手が伸びてきた。
いきなりのことにドキッとしてギュッと目を瞑る。
けれど迅の手のひらはあたしの額に触れただけだった。
あたしはゆっくりと目を開く。
「熱下がってんな」
「…うん。 もう平気」
あたしはそう言って視線を落とす。
迅はふっと笑うとあたしの頬に手を添えて、
「こっちは熱いけど」
なんて意地悪な笑みをしながら言った。
あたしは慌てて体を仰け反らす。
「だ…だだ、大丈夫…」
「そう? ならいいんだけど」
迅はそう言って手を引っ込める。
あたしは安堵して小さく息を吐いた。

