迅にやられたことを思い出す。
これってやられる側は緊張するけど、やる側も緊張するとは思ってもみなかった。
間違った!!
完全にミスった!!
慌てて伸ばした腕を引こうとしたときだった。
手首を掴まれ、そのままスプーンは吸い込まれるように迅の口元へと移動する。
口の中に入れた瞬間、迅は顔を顰めてあたしの腕を解放した。
「…甘」
「そ…そりゃチョコとかクリームとかたくさんだもん…」
あたしは真っ赤になってるだろう顔がバレないように俯きながら、バクバクとパフェを口の中に入れていく。
今更ながら間接キスじゃんとかいろいろ考えたけど、一先ず平然を装っていたくてパフェを口の中に詰め込んだ。
懸命に食べ続けるあたしに声がかかる。
「ついてる」
「…へ?!」
あたしは慌てて顔を上げ、片手で口元や頬に触れる。

