うっそぴょーん、なんて言うつもりで顔を上げたのに、目が合った瞬間迅はジーっとあたしを見てたもんだから、笑ってそんなことが言えなくなってしまった。
頬杖をついたままジーっと見つめられる。
気づけば迅の食べていたはずのうどんは全てなくなっていて、空のどんぶりだけがそこにあった。
ドキドキしすぎてふざけたとこが言えなくなってしまったあたしは、諦めてあげることにした。
や…やばい…。
やっぱり違う。
佐藤さんと2人っきりでいるときとはぜんぜん違う緊張感。ドキドキ。
佐藤さんに抱きしめられたときはドキンっとしただけでドキドキはしなかった。
けれど今は見つめられてるだけでドキドキする。
スプーンの上にアイスクリームやらコーンフレークやらたくさんのせると、あたしは迅の口元に運んだ。
そのときピクリと迅の眉が動いたのをあたしは見逃さなかった。
ヤバイ!!
そう思ったときには遅かった。
完全に間違えた。
ここでの正しい行動は、スプーンとパフェを迅に渡すことだったらしい。
これじゃ〝はい、あーん〟状態だ。

