「美味そうなもん食ってる」
いつの間にか真横に迅がいて、思わず悲鳴を上げそうになった。
あたしは驚きで目を見開いたまま震えながら声を出す。
「い…っ、いつの間に?!」
「今来た。 ベット抜け出して何してんだ馬鹿」
ムッと顔を顰める。
馬鹿とは何だ馬鹿野郎!
なんてキーっと睨み付けてると、迅はフイっと視線をあたしから佐藤さんへと向けて会釈した。
「佐藤さん、お久しぶりです」
「おうよ。 瑠璃ちゃんとは仲良くやってるか?」
あたしは未だにイーっと犬歯を剥き出して威嚇中。
そんなあたし迅は死んだ目で見つめると、
「そこそこですかね」
なんて微妙なことを言った。
あたしは威嚇をやめない。
海さんがあの家にいたってことを思い出し、いつもならしない八つ当たりをしまくる。

