「料理はできる?」
突如変わった話の内容に、あたしは慌てて首を縦に振る。
佐藤さんは満足そうに笑うと、
「手伝ってくれ」
そう言ってあたしにナイフとリンゴを渡してきた。
それを受け取り、暫し考える。
さっきの大笑いはなんだったんだよ?
多分流された。
間違いなく笑いで流されたに違いない。
「そこのを全部皮剥いてくれ」
そう言って指差す先には5個程のリンゴ。
あたしは何も言わずにリンゴを手に取ると、無言のまま皮を剥き始めた。
無言のあたしを拗ねたと思ったのか、佐藤さんは慰めるように背中を優しく数回叩くと、困ったように口を開いた。
「英二も迅も瑠璃ちゃんも、みんな子供だなぁ」
「…ぬ?」
「みんな愛情を求めてる」
「………」
ナイフを動かす手がピタッと止まる。

