プラトニック・ラブ




なぜ感謝されたのだろう?



分からない。


怒るんじゃなくて笑った。


しかもその笑い方は馬鹿にしているような笑い方ではなかった。



分からない。



こうしてついて来て無言の空間は悲しいから、引っ掛かるさっきの言葉について訊くことにした。



「あの…感謝って、どういうことですか?」



ザバザバと果物を洗う佐藤さんの邪魔にならないように声を掛けてみた。


佐藤さんはあたしの言葉にフッと笑うと、あたしに背中を向けたまま言った。



「英二も迅も子供だからなぁ…」



その意味深な言葉に「…え?」声を漏らすと爆笑された。



何にツボったのか、全く意味が分からない。


脳内ではイラよりもハテナの方が大半を占めているから、あたしはポカンとした顔のまま佐藤さんを見つめる。



本当にこの人はよく分からない謎の人だ。


理解しようとしてもそれができない、もしくはさせてくれない。