ガッチリと強い力で掴まれている頬。
マジ強すぎて頬が変形すんじゃないかって不安になるほど痛い。
いつになったら解放してくれるのか…助けて。
「ガタイよくてすまんなぁ!」
そう大笑いしながら言って、あたしの頬から手を離すと、コッチに手を差し出してきた。
遠慮することなくその手を掴むと、物凄い力で思いっきり上に引かれた。
同時にさっきの衝撃で痛んだ手首が悲鳴をあげる。
「痛…っ」
これはマジで捻ったかもしれない。
小さく呻いたあたしを見て、佐藤さんは小さく首を傾げると、
「どうかしたか?」
相変わらずデカイ声で訊いてきた。
あたしは脂汗を滲ませながら笑顔を見せる。
〝大丈夫〟そんな笑みで。
佐藤さんは「そうか」と頷くと、
「ついて来な」
そう言って歩き出した。
あたしは不思議そうな顔をして、そんな佐藤さんの大きな背中を見つめる。

