「な…なに…言って…」



「知らなかっただろ…?」



「だ、だって…」



「一目見たときから好きなんだ…」



何それ。


何でそれを今言うの…?



あたしの両腕は力なく重力に逆らうことなく垂れる。


抱きしめることも振り払うこともできない。



「だから…気になる」



どうしてそんな泣きそうな声で言うの…?



訊いてるだけで胸が締め付けられる。


そんなに苦しそうに言う理由が分からない。



「関係ないなんて言うな」



ギュッと抱きしめられる。


ドキンっと胸が鳴る。



迅さんとは少し違う。


ちょっと細くて、ちょっと冷たい。