「…離して」 ここから逃げなくちゃ。 勘の鋭そうな人は嫌い。 「離して…っ!!」 あたしがそう叫んで振り解こうとしたときだった。 腕を引っ張られ、気づけば深谷に抱きしめられていた。 「………っ!」 驚いて抵抗していた力が抜ける。 耳元で切なく囁かれた。 「お前が好きだ」 あまりに突然の告白だった。 まるで吸収されるかのように力がなくなっていく。 迅にも言われたことがない。 自分も言ったことがない。 〝好き〟って告白。