傍にいてほしい。
こんなの〝甘え〟じゃなくて〝ワガママ〟だ。
あたしは一体今どんな顔をしているんだろう。
〝行かないで〟そんな顔をしているんだろうか。
迅はあたしを見てふっと笑うと、
「行かないよ」
そう言ってパイプ椅子を持ってくるとそこに座り、毛布を深くあたしにかけた。
あたしは迅を見て、布団に口元を埋めたまま言葉を零す。
「手…」
「ん?」
「手…繋いで…?」
「いいよ」
ギュッと握ってくれる。
それだけで安心する。
「寝ろ」
そう言ってあたしの瞼に手を乗せる。
あたしは静かに目を瞑った。
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