プラトニック・ラブ





そのまま手を繋ぐ。


あたしはその行動にギョっと目を見開く。



あたしはそこでマジマジと見た。



あの日、初めてここに来てバイトをした日。


確か迅はこんな格好をしていた。



あたしの目の前にはビシっと決められたスーツを着た迅がいた。



細身の体にピッチリ似合うスーツを着こなしている迅。


そして本当に似合ってるのか分からないワンピース姿のあたし。



そこで改めて気づいた。



そうか…ここはこういう世界なのか。



トップの櫻井グループ。


人の目に晒されるときはしっかりとした格好をしなければならない。



「そろそろ行こっか」



そう言って、手を繋いだまま歩き出す。


あたしはそんな迅に引っ張られるようにして後を追う。