袖口や裾にフリルの付いた薄ピンクがかったワンピース。
まるでどこか有名な財閥の娘が身に着けるようなその衣服に、あたしは小さく悲鳴をあげると慌ててそのワンピースから離れた。
こ…これは敵だ。
拒絶反応。
こんないかにも豪華な服を見たこともないあたしは、あまりの輝きを持つそのワンピースに恐れなした。
迅はそんな勢いよく逃げたあたしを不思議そうに見つめて首を傾げると、
「どうかした?」
なんてワンピースを片手で持ったまま近寄ってくる。
ひぃ…!!
迅が近寄ってくる度にあたしはゆっくりと後退する。
そんなあたしの行動に気づいた迅は歩くのをやめ、
「どうかした?」
再度その質問をしてきた。
あたしは近くにあったたくさんの服に身を隠し、顔だけを見えるようにした状態で言う。
「あ…あたし…そ、そんなの着れない…」
嫌でも目に入るワンピース。
ボーイッシュなあたしにはどう頑張っても似合うことがないワンピース。

