「―――迅ッ!!!」
あたしはそう叫ぶと、目の前の影に抱きついた。
誰かなんて聞かなくても分かる。
この匂い。
あたしを安心させる、唯一無二の匂い。
「な…んだよ、ビビッたな。 いきなりドア開けんなよ」
あたしのいきなりの登場に、迅さんは目を見開いて素っ頓狂な声を出す。
あたしは何も考えられずに目を強く瞑ったまま、ギュッと迅にしがみ付く。
「おい、どうした?」
いきなりの行動に、迅は不思議そうな声で聞いてくる。
けれど何故か口から声が出てくれない。
「あ……な、んで…もな…」
途切れ途切れとなってしか出てくれない言葉。
泣いてないのに嗚咽のようなものが出る。
膝が笑って上手く立てない。
小刻みに震える体は滑稽もん。
情けないな、あたし。
恥ずかしいくらい。

