何だよ。



あたしは完全に覚醒したまま、眉間にシワを寄せる。


ちょっと不機嫌なのは寝起きだからじゃない。


あたしは寝起きが良い方だ。



視線を左から右へ移す。



どこにもいない。



もとからそんな大きな部屋ではない―――っと言っても通常の部屋より大きいんだけど、見渡すほど大きな部屋じゃないからいたら気配で気づく。



薄暗くなり星が瞬き始める空。


同時に薄暗くなる部屋。



どうしてか。



急に何かが恐ろしくなって、ブルっと身体が震えた。



初めての空間だからなのか、足元から何かが這い上がってくるような不気味な感覚に陥る。



何でいないの…?



〝目ぇ開けたときいなかったらお仕置きな〟



そう言った張本人が消えた。


あたしだけを残していなくなった。