この前の部屋にいるのかもしれない。
あたしはうろ覚えの頭を必死に使い、あの場所を思い出してみる。
確か真ん中にある階段じゃなく端にある螺旋階段を上って行ったような…。
螺旋状の階段を上っていく。
何だか魔法の屋敷に紛れ込んでしまったような、そんな気分になる。
ちょっと不安。
けれどワクワク。
それとドキドキ。
微かな記憶だけを頼りに、あたしは1つの部屋の前に立った。
多分ここだった気がする。
何て言ってもどの部屋のドアも全て一緒だから見分けがつかない。
どれもこれも一緒にしか見えない。
あたしは息を吸い込むと〝トントン〟と、2回ノックをして恐る恐るドアを開けた。
「迅…さん?」
片目だけを覗かせて、小さな声で彼の名前を呼ぶ。

