迅さんに抱きしめられたとき、何故か涙が出そうになった。
何かが込み上げてきた。
言葉にできない、何か温かいものが急速に込み上げてきたんだ。
感じたことのない、いや、もしくは忘れてしまうほど遠く昔に感じた体温。
久しぶりのソレは、あたしの心を震わせるほどの力を持っていた。
だからなのかもしれない。
〝ギュッてして〟
そう言われたとき母性本能を擽られたのかもしれない。
けれどあたし自身が腕を回した理由はそれだけじゃない気がする。
もしかすると、あたしは迅さんと同じく―――――いや、もしかするとそれ以上に誰かの体温を求めているのかもしれない。
〝愛情〟
それはあたしにも分からない謎の言葉。
そんなあたしに何ができる…?
あたしはふと声がする方に視線を向ける。
大きな庭。
笑い声を上げながら走り回る2人の男女。
瑠子と圭介くん。
…もうそんなに仲良くなったのかよ。

