プラトニック・ラブ





弾丸が飛び出すようにリビングからもうダッシュで退出する。


バタンっとドアを閉めた途端に何かがキレたように、あたしはドアに背を付けたままズリズリと座り込んでしまった。



何だか疲れた。



精神的に疲れた。


緊張するなって言っても無理。


緊張してるつもりはないけど緊張してしまうのは、あたしがああ言う環境に慣れていないから。



お母さんと英二さんが2人並んでいると、本当の夫婦に見えてしまった。


同時に、本当のお父さんだったらいいのにと思ってしまう。



迅さんは愛情を知らない、と英二さんは言っていた。


正直に言えばあたしもそうなのかもしれない。



お父さんの体温を知らない。


お母さんの体温は少ししか知らない。



小さい頃から働きまくっていたお母さんに、あたしを構うような時間なんてこれっぽっちもなかった。



抱きしめられた記憶は曖昧。


抱っこをされた記憶も曖昧。




だからなのかもしれない。